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2003年12月15日 中山にて

 

前略、大統領閣下

 

 あなたの4週間前の「ベルリン市民へのスピーチ」を読んで、私が感じ考えたことを

 

、ここでは2点だけ書かせて頂きたいと思います。

 

1:ベルリンの壁崩壊以降、それまで充分な情報を与えられていなかった、多くの知

 

識ある人々は、より公平な世界秩序が、ある程度自動的に現出するであろうと希望し

 

ていました。ここで更に必要なのは、政治的なガイダンス(指導力)になるでありま

 

しょう。しかしながら、それは、私には再び組織化することができない、目覚めた市

 

民や政治家やジャーナリストが信頼するに足るものであるべきです。

 

 ドイツ基本法の24条で謳われた内容は、国連の集団的安全保障が実行されようとす

 

る可能性が差し迫っている現在、是非とも早急に実行されなければなりません。国家

 

主権の放棄を伴った国連の安全保障のシステムは、元々アメリカが冷戦構造によって

 

欲したものでしたが、「伝送」や「合併」の方式も実効に移されるべきです。

 

 私はこの20年間、ドイツ連邦を少なくともIGHの司法制度の下に置くよう、何に

 

も増して努めてまいりました。それは、良く知られているように、国連憲章に宿った

 

集団安全システムにとって土台となるものであり、平和的な国際紛争解決にとっては

 

義務とも言える国際司法制度であります。1899年と1907年のハーグ平和会議

 

では、この問題に関しては、ドイツの存在によって失敗に終わりました。(私の論文

 

:インザプラントをご覧下さい)

 

2:インドとヨーロッパを比較すると、インドは随分以前から連邦国家の体制を構築

 

しています。それはまだヨーロッパが到達していないものです。ではヨーロッパにと

 

って特別な要素とは何でしょう。ヨーロッパもインドも極めて多数の異なった民族や

 

言語などで構成されています。ヨーロッパに特有なのは非常に多くの戦争を経験して

 

きたということで、その経験から多くのことを学んでいるということです。Europe

 

points beyond itself.もし、世界情勢に合わせて連邦の民主的秩序の形成が成されな

 

い限り、ヨーロッパの連邦化や統合化は失敗に終わると考えています。国連がその中

 

心的役割を果たさない限り、このような冒険的行為にアメリカが軍事的支援で介入し

 

てくることは明らかです。残念なことに、私は貴方のスピーチの中で、この危惧に触

 

れた箇所を見出すことができませんでした。私は「我々ヨーロッパ各国は、断固とし

 

た行動を伴う理念をもって、一致して準備しなければならない」という貴方のスピー

 

チには賛同します。

 

 また、「NATOの新しい使命が、広く公で議論された上で、これまでよりはるかに

 

大きなものになるべきである」という貴方の提案も支持します。しかし残念なことに

 

、その具体的な内容を国防省や国務省のウェブサイトで見つけることはできませんで

 

した。私が考えてい頂きたいのは、将来的にNATOを国連の集団安全システムに編

 

入することです。もしヨーロッパが一つになれば、これはそう難しいことではないで

 

しょう。フランス側の高官も、国連での超国家的存在の創出との関係性において、今

 

後大幅に譲歩する準備があると聞いています。

 

 これらの意見について、ご回答を頂ければ有難いと存じます。

 

 敬具

 

PhD.クラウス・シルヒトマン

 

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拝啓 シルヒトマン博士

 

ヨハネス・ラウ、ドイツ連邦大統領に代わって、2003年6月15日付けで頂いた

 

、ベルリン市民へのスピーチに対する貴下からのお手紙に対するご返答をさせて頂き

 

ます。ご承知の通り、大統領のベルリンスピーチは政治家のみならず我々国民全体が

 

政治に対して更に議論を進めるべき基本的な見通しについて述べたものであります。

 

貴下がお手紙の中で触れられている諸点については、今後の目的達成向けて幅広い議

 

論をするための示唆となるものであります。

 

我々の観点からも、国際連合は国際関係の中で我が国が行動していく上で権威となる

 

べき中心的存在であり、将来NATOが国連の安全保障システムの中で果たしていく

 

役割についての貴下の考察は特に興味深く読ませて頂きました。遠い将来を見据えて

 

の貴下の意見は考慮に値するものであります。私は貴下がドイツでのメッセージを日

 

本の東京においても紹介されていることを嬉しく思います。

 

貴下のお手紙に重ねて御礼申し上げ、簡単ながらお返事とさせて頂きます。

 

敬具

 

大統領補佐官 マティアス・ムルメンシュタット(Matthias Mulmenstadt